2011年4月5日火曜日

桜を、ワインを

 今日もわが愛する林試の森公園を走ってきたが、園内の桜は三分咲き。ここ数日は気温が低そうなので、満開まではまだ1週間くらいかかるだろう。

 雑誌やマンガや本に続いて、ワインを被災地に届けるというプロジェクトが次第に軌道に乗りつつある。ことの発端は、先週水曜日、某ワイン関連組織に招かれて、ワインと桜を楽しむ夕べ(桜的には時期尚早だったが)に出かけた際、主催者側のKさんと話したことだった。手短に言うと、「被災地に救援物資としてワインを送ることは是か非か」ということ。もしも是ならば、ぜひ協力したいとKさんは言う。帰宅後さっそく、被災地の状況について問い合わせてみたら、届ける側の自主規制で酒類を持っていくのは控えているとのこと。TVで連日、あちこちの避難所のようすが映し出されているが、そこにアルコールを飲んで酔っぱらっている人の姿があったら、どうだろう? それを観る人たちの過剰反応は容易に想像できる。物資を届ける側が自主規制するのも無理はない。それでも、「飲みたい人がたくさんいるのは間違いない」とのことで、時期と場所を選べばニーズがありそうな感触だった。
 翌日、気仙沼の交通が遮断された地区に物資を運ぶ予定のあるMさんが、僕の問い合わせに応じて、ワインを持っていってみたいとメールをくれた。とりあえず3ケース、Kさんのことろから送ってもらうことにする。
 さらにその後、大きな展開になりそうな話が花巻の岡部さんから飛び込んできた。36歳の若き岩手県議、高橋博之氏(http://hiroyuki-t.jugem.jp/)が被災地・陸前高田市で被災者による花見を企画、その会場にワインを届けてもらえたらありがたいとのこと。この動きはツイッターなどを通じて広く拡散しており、陸前高田で花見の行われる4月17日に全国各地で“同時多発花見”をして盛り上げようというムーブメントになっているようだ。
 都内では花見も自粛の方向である。「被災地で被災者が花見」というアイデアに僕は虚をつかれた。たしかに、花もワインも、心を和ませるものは、被災者の人たちにこそ相応しいのかもしれない。

 フランスワイン関連のKさんに続いて、某ワイン輸入業者など複数の人が「被災地にワインを!」の動きに賛同の意を示し、供出を検討してくれている。僕はワインの力を信じているので、ぜひスムースに被災地に受け入れられ、役に立ってほしいと思う。そのためには、まず、非被災地の人たちの間に「被災地の人たちだって、ワインを楽しんでいいじゃないか」というムードが醸成されなければならない。
「ワインほど一人で飲むのが似合わぬ酒はない」
「ビールは人を攻撃的にするが、ワインは人を友好的にする」
 ワインにまつわる名言・格言は無数にある。適量を飲むかぎりにおいては健康効果も期待できる。不安や不眠を和らげる助けにもなるかもしれない。そして、今回の悲劇が契機となって、東北の人びとの間にワインが劇的に浸透し、将来的に一大消費地になる……なんてことを夢想したら、不謹慎だと叱られるだろうか?

この春も 桜の花の咲くことを よろこびとする かなしみとする

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